●アレルゲン(スギ花粉・ダニ)免疫療法とは
スギ花粉やイエダニなどアレルギー症状を引き起こす原因となるアレルゲンを投与していくことで、
アレルゲンに曝露された時に起こる症状を緩和する治療法です。対症療法と異なり、アレルギー性疾患
の自然経過を改善させることが期待できます。
<短所>
※ 病院アレルゲンの確定診断を採血で行う必要がある。
※ 長期にわたる治療期間が必要(3~5年が推奨される)。
※ 対症療法と違って即効性がない。
<副作用>
※ 投与部位である口腔内にアレルギー症状が出ることがある。
※ アナフィラキシーの発現の可能性がある。
初診の日に行うこと①
問診表に過去の治療歴や既往歴などを記入してもらいます。医師の診察で問診を行います。
1. 自覚症状の確認・・・くしゃみ、鼻のかゆみ、鼻漏、鼻づまり、眼のかゆみ。
※スギ花粉症ではスギ花粉の飛散時に症状が出ること。
2. お子さんの場合、舌下での薬の保持が可能かの判断が必要です。
治療できないケース
1. 過去に同じ薬でショックを起こしたことがある方。
2. 重症の気管支喘息がある方。
治療に際し、注意を要するケース
1. 気管支喘息をお持ちの方。
2. 他のアレルゲン免疫療法を実施中の方。
3. 非選択的β遮断薬や三環系抗うつ薬を内服している方。
4. 重症の心疾患や呼吸器疾患をお持ちの方。
初診の日に行うこと②
お子さんが治療対象の場合、ご家族に治療内容を説明します。
スギ花粉やダニ抗原が原因であることを採血で確定させます。
(この際、肝機能や腎機能など一般的な採血も行います) → 特異的IgE抗体検査といいます。
治療を希望される場合、以下に対する同意が必要です。
・長期間の治療を継続できる。
・最低月に1度は受診し、毎日服用を継続できる。
1週間後に再診予約を取り採血結果を説明します。
抗体検査が陽性で、かつ舌下免疫療法をご希望される場合に治療を行います。
はじめて舌下免疫療法のお薬を服用される場合は、事前にトイレなどを済ませて頂き、服用後はクリニック
の待合室で30分程安静にしてください。体調の変化などあればスタッフにお知らせください。
※ 規定の時間、お薬を舌下に保持してもらい、飲み込んでもらいます。
服用後5分間は飲食やうがいを控えてください。
※ スギ花粉の場合、スギ花粉が飛散していない6月末から治療開始となります。
2日目以降の服用についてはお薬によって投与間隔が異なります。
※ お子さんが治療を受ける場合は家族が一緒にいられる時間帯に内服してください。
※ 服用前後2時間は激しい運動・入浴・アルコール摂取を控えてください。
● 主な副作用(口腔内の副作用は初期1か月が多い)
・口やのどの中の腫れ・かゆみ・違和感・口内炎 ・唇の腫れ
・ショックやアナフィラキシー(血圧低下・呼吸困難感など)
舌下免疫療法は毎日服用を継続することが重要です。
アレルゲンへの曝露は今までと同じように避ける努力をしましょう。
花粉飛散時には抗ヒスタミン薬・ロイコトリエン拮抗薬などの対症療法も検討しましょう。
舌下免疫療法は治療を終了すると、徐々にその効果が薄れることがあります。
→ そのため、2-3年は最低でも内服を継続することが推奨されています。
治療には長期間が必要ですが、抗原抗体反応そのものを緩和することが期待できます。
ぜひ頑張って続けましょう。翌春のスギ花粉飛散時期に、症状の軽減や対症療法に必要な抗ヒスタミン薬
を減らしたり、弱い薬剤に変えられることを確認してみてください。