当院では18歳以上の成人の方を対象にしています。
大学生や専門学校など学業に従事されている方から社会人の方まで幅広くこころと身体の不調を診療します。
夜に眠れない、不安感が強い、急に動悸がしたり過呼吸になる、全身倦怠感(だるい)、意欲がわかないといった症状で悩まれている方のご相談も可能です。
精神医学の立場や臨床心理学の知見から総合的に判断し、今後の方針を相談致します。この場合、必ずしも精神医学では治らないと考えられる場合にはその旨を説明し対応を相談致します。
当院では採血検査を案内することがあります。肝機能腎機能、鉄欠乏性貧血検査、甲状腺ホルモン検査、各種アレルギー検査も実施可能です。
内服している精神科薬(例:炭酸リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン等)に対して、医薬品の安全性確認のため、増量時は1週間後に、維持期でも2-3カ月に1度の血中濃度採血が推奨されていますので、診察時に相談する場合があります。
一般的な精神科薬物治療に加えて、漢方薬での治療やこれまで処方されていた薬剤の減量や調整、心理療法や保健指導など幅広く診療を行っております。ご不明点などございましたら診察にてご相談ください。
眠れないという自覚症状にも、寝つきが悪い(入眠障害)、途中で目が覚める(中途覚醒)、朝早くに目が覚めて眠れない(早朝覚醒)という3つの不眠症に大きく分かれます。
近年ではスマホやネット環境の発展や夜勤主体の職業の方では睡眠覚醒のリズムを崩される場合も多くみられます。
不眠症ではお薬に頼らない生活指導(一般に睡眠指導)と睡眠を調整する薬剤による薬物治療があります。
大きな悩みを抱えられている方の場合には心理療法が根本治療にもなり得ます。
薬物治療については患者さんのお薬に対する不安や希望を尊重しつつ、効果と副作用について説明させて頂いた上で、日常生活に必要なお薬を処方します(いわゆる睡眠薬にも選択肢がありますので、外来でご相談ください)。
ご本人が所属されている職場や学校、家庭環境などで明らかなストレスの原因があり、そのために精神的な症状や身体的な不調をきたすものです。
ストレスが続くと、うつ病の症状や頭痛や腹部痛、不眠やパニック発作などを起こすことがあります。
適応障害の治療では、可能な限りご本人に負担となっている環境要因を軽減し、周囲にサポートを求めることが重要と考えます。
うつ病や不眠症などを合併した場合は、その治療を優先することもあります。
14日以上連続して気分が落ち込んでしまう、だるくて気力が出ない、今まで楽しめていたことに興味や喜びを見いだせないなどの精神症状が中心です。
人によっては不眠症や食欲低下、パニック発作、頭痛や過敏性腸症候群などの身体症状を併発することもあります。
一見するとうつ病に見えても、長期的に診察していると双極性障害(躁うつ病)であったり、背景に発達障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)を抱えていることもあり、注意が必要です。
うつ病の治療では心身をゆっくり休めることと、ストレス因から離れること、栄養をしっかり摂ることが必要です。
それでも改善が乏しい場合には睡眠を改善するお薬や、うつ病の原因と考えられているセロトニンのバランスを戻すお薬を用います。
心理療法では症状がある程度安定したタイミングで認知行動療法(CBT)も検討されます。
うつ病の症状の時期と、逆に気分が高まって普段しないような活動性がみられたりする場合、双極性障害の可能性を考慮します。躁状態という気分が高まる時期にはいつもより仕事や勉強ができてしまうため、ご本人にとっては躁の状態を維持したいと考えてしまうことも多くあります。
しかし躁状態が続くとその後に強いうつ状態を招くため、うつ病とは違う配慮や薬物治療が必要となります。
治療に際してはアルコールやカフェインなど神経をたかぶらせる成分を控えてもらい、仕事や勉強は程々にし、主に気分の波を安定させるお薬を内服してもらいます。
うつ病に比べると薬物治療の必要性は高く、ある程度の期間、お薬の継続が必要です。
突然に起こる呼吸困難感、胸部痛や激しい動悸、めまいや意識を失いそうになる感覚といったパニック発作を中心とした症状を起こします。パニック発作はご本人にとって非常に辛いもので、「同じ発作がまた起こったらどうしよう」という予期不安の感覚を強く抱きます。
そのため、外出ができなくなったり、仕事や学校に行けない、公共交通機関に乗れないなど社会的な問題を起こしてしまいます。
治療に際しては双極性障害と同様にアルコールやカフェインなど神経をたかぶらせる成分を控え、脳内のセロトニンの量を調整するお薬を内服し、発作時に頓服で使用できるお薬を併用します。
症状が軽い場合には漢方薬や認知行動療法も検討できます。
市販の栄養ドリンク剤や風邪薬、漢方薬の一部にはカフェインや麻黄という成分を多く含むものがありますので、ご注意ください。
代表的な症状としては、自分が汚れてしまうという汚染恐怖から、人が触ったものに触れられなくなったり、電車のつり革やドアノブに触れないことから社会生活に支障をきたす場合があります。
鍵をきちんと閉めたか、ガス栓をちゃんと閉じたか、などの確認行為を繰り返してしまう症状も多くみられます。
人によってはトイレや入浴の際に、いつも同じ順番で行動しないと落ち着かないという順序強迫という症状にお困りの方もおられます。(この場合は、こだわり思考の強い発達障害が鑑別にあがります)このような症状のために、日常生活に影響がある場合に治療対象となります。
治療としては不安を司る神経伝達物質であるセロトニン量を調整するお薬を使ったり、強迫症状による反復行動の頻度を抑えていく行動療法があります。
人によっては認知行動療法が適応になり得ます。
主として、人前に立つ場面や見知らぬ相手からの電話に出たり、注目や視線を浴びる場面で強い緊張感や不安感を覚え、全身の振るえや多量な発汗、赤面をきたすものです。
その結果、人と関わる場面を避けるようになってしまい、学校生活や社会生活に支障をきたします。
治療としては強迫性障害と同様にセロトニンのバランスを戻す薬剤を用います。
特定場面で不安が強い場合には抗不安薬を併用したり、β遮断薬という交感神経の高ぶりを抑えるお薬も使います。
心理療法で他の人との会話に慣れることも検討されます。
代表症状としては、「誰かに追いまわされている」「監視されている」「自分に命令する声が聞こえる」「自分の考えが読み取られてしまう」といった妄想と呼ばれる症状が中心です。
人によって症状には違いもあり、「世界が宇宙人に滅ぼされる」ことを心配したり、誰もいない部屋で独り言をいうなどの症状をみせることもあります。
統合失調症の治療ではドパミンという脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが主たる原因と考えられており、ドパミンを含めた神経伝達物質を調整するお薬を用います。
一般に統合失調症では漢方薬の効果は示されておらず、精神科治療が原則必要です。
急に症状が出現した場合や悪化した場合には、入院治療も含めた対応が検討されます。
こころと身体のバランスが崩れた結果として起こる不調を総称して心身症と記載します。
当院は精神科・心療内科ですので、各専門の内科などで明らかな身体の病気が否定された場合に心身症の可能性を検討します。主として過敏性腸症候群や慢性片頭痛に対する薬物治療や予防的治療を相談致します。